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華のしずく~あなた色に染められて~
第8章 【雪の華~華のしずく】 三
 徳姫は広い廊下にぽつねんと一人、放り出されてしまった。辺りを見回しても、行き交う侍女の姿も見えない。迷子になった子どものように心細い想いで途方に暮れ、それでも貞心院に献上する梅の枝だけはしっかりと両の腕に抱えて廊下を辿っていた、その時。
 周囲に気を取られすぎていたがために、真正面に殆ど注意を払っていなかったのは明らかに徳姫の不注意ではあった。
「あっ―」
 真っ向から歩いてきた人物とまともに衝突し、徳姫は小さな悲鳴を上げた。
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