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第2章 二

　敵国の将とあれば、討ち取れば必ず首級を上げたが、その遺児などには思いの外心配りを示し、たとえ男子といえでも二心なきことを誓い仏門に入れば、生命までは取らず見逃した。戦にかけてあまりに天才的なひらめきを見せるために、人々からは残虐非道と謳われ怖れられたが、その素顔は存外に情に厚かったのである。
　女子どもすら容赦なく惨殺するというのも全くの事実無根、偽りの噂であった。むしろ、たとえ敗戦国の将の遺族といえども、女子どもであれば、手厚く保護していた。