この作品は18歳未満閲覧禁止です
華のしずく~あなた色に染められて~
第8章 【雪の華~華のしずく】 三
だが、そのたおやかさは男に守られ、その言いなりになるだけの人形のような大人しさとは異なり、柳のように風に吹かれるがままになびきながらも、凛として己(おの)れをしかと持ったしなやかな強さに通じていた。
そんな徳姫の胸中に頓着する様子もなく、貞心院は花のような微笑をその面に刻む。
「私にも昔、そなと同じように思い悩んだ日々があった」
思いもかけぬ台詞に、徳姫はそれまでの涙も忘れ果て、眼を大きく見開いた。