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華のしずく~あなた色に染められて~
第10章 【紫陽花~華のしずく~】一
 だが、当の彼自身は絶対に自分以外の者に素顔を見せることはない。
―狐の皮をかぶった虎。
 明子は咄嗟に、この男をそんな風に思った。この男―彼女の良人となる羽柴秀吉は周辺諸国から「青き龍」と呼ばれて畏怖されていた戦国武将の一人であったから、「虎」ではなく「龍」ではあったかもしれないが。
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