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華のしずく~あなた色に染められて~
第10章 【紫陽花~華のしずく~】一
―そなたは将軍の娘じゃ。たとい側室として迎え入れられたとて、他の女とは訳が違う。
父はそう言ったけれど、明子にしてみれば、他の女たちと何の変わりがあろうかと思う。秀吉の女好きは評判だ。まだ子はおらぬけれど、既に十数人の側室を身辺に侍らせているという。父は側室でも正室と同然と言うが、そんなことは所詮その場逃れの気休めにすぎない。現に父義道にしろ、明子の母である正室の章子(しょうこ)女王の他に数人の側室を持ち、その中でも父の寵愛の厚い女が権勢を誇っている。
父はそう言ったけれど、明子にしてみれば、他の女たちと何の変わりがあろうかと思う。秀吉の女好きは評判だ。まだ子はおらぬけれど、既に十数人の側室を身辺に侍らせているという。父は側室でも正室と同然と言うが、そんなことは所詮その場逃れの気休めにすぎない。現に父義道にしろ、明子の母である正室の章子(しょうこ)女王の他に数人の側室を持ち、その中でも父の寵愛の厚い女が権勢を誇っている。