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華のしずく~あなた色に染められて~
第10章 【紫陽花~華のしずく~】一
「いかがしたのじゃ」
 心なしか顔色の冴えない常磐井に、明子は訊ねた。常磐井は生まれ落ちたみぎりより、母代わりとして育ててくれた乳母である。殊に都から遠く離れた異国にあって、常磐井の存在は明子にとって心強いものであった。
「今宵、お館様よりお召しがあるそうにござります」
 常磐井はしばし逡巡する様子だったが、ひと息に言った。
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