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華のしずく~あなた色に染められて~
第10章 【紫陽花~華のしずく~】一
「無礼な。私は足利義道の娘です」
 明子は屈辱に身を震わせながら断じた。生まれてからこれまで、これほどの辱めを受けたことは一度たりとてない。
「それがどうした? 今は下克上の世だ。力のある者が弱き者を制する。名ばかりの権威を笠に着たお飾りの将軍家に何の意味があるというのだ!?」
 秀吉がこともなげに言い放つ。明子はキッとなった。
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