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華のしずく~あなた色に染められて~
第11章 【紫陽花~華のしずく~】二
「お館様がご正室を迎えられないのは、お心に想うお方がおありなのだとお聞き致しました」
「そのような話、誰に聞いた?」
 秀吉の眼が鋭い光を帯びた。眼帯で隠されておらぬ右眼がほのかな明かりに照らされて、蒼く光っている。
「噂にござりまする。お館様には、昔、ひそかに愛した女性がいると」
 明子も臆することなく、きっぱりと応える。
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