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華のしずく~あなた色に染められて~
第12章 【残菊~華のしずく~】序章
秀吉は隻眼である。幼い頃の病、あるいは合戦のときの負傷で光を失ったのだとも云われているが、彼の左眼は黒革の眼帯に覆われていた。たとえ、どのように穏やかそうに笑っていても、よくよく見れば、秀吉の右眼はけして笑ってはおらず、むしろ冷めたような光を宿しているのだが、その本性を見抜ける者はいない。
誰もが見かけの優しさ、穏やかさ、気さくな態度に騙されてしまうのだ。ゆえに、まだ十三の藍丸が秀吉を見かけどおりの人物だと思い込んでも、致し方のないことである。
誰もが見かけの優しさ、穏やかさ、気さくな態度に騙されてしまうのだ。ゆえに、まだ十三の藍丸が秀吉を見かけどおりの人物だと思い込んでも、致し方のないことである。