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華のしずく~あなた色に染められて~
第13章 【残菊~華のしずく~】一
 五喜が寝所に入った時、秀吉はまだ来てはいなかった。いかほど待っただうか、五喜には随分と長い刻に思えたけれど、実際は半刻にも満たなかったはずだ。
「お館様のお渡りでございます」
 先触れの声が告げ、五喜は平伏して秀吉を迎えた。
「面を上げよ」
 低い声で言われ、心もち顔を上げる。
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