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華のしずく~あなた色に染められて~
第13章 【残菊~華のしずく~】一
手を伸ばせば届きそうな距離に、端整な風貌の男―秀吉がいた。黒革の眼帯をかけた左眼はしかとは判らないが、右眼は色素の薄い茶色をしている。あまたの戦で勝利を得、天下を取ろうかという武将である。逢ったことがあるとはいえ、九年前の幼い記憶には秀吉の風貌は殆ど残ってはいなかった。
南蛮人との混血だけに、赤毛の鬼のような巨躯だと聞き、どのように怖く、いかめしい武者かと思っていたのだが、素顔の秀吉は存外に男ぶりも良い美丈夫であった。
南蛮人との混血だけに、赤毛の鬼のような巨躯だと聞き、どのように怖く、いかめしい武者かと思っていたのだが、素顔の秀吉は存外に男ぶりも良い美丈夫であった。