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華のしずく~あなた色に染められて~
第14章 【残菊~華のしずく~】二
 時治はしばらく見ぬ間に随分と痩せたように見えた。若者らしい溌剌さは失われ、子どもの頃は少女に見間違えられたほどの美貌が壮絶なまでに際立っている。言葉を無くす五喜に、時治は熱に浮かされたように続けた。
「夜が来る度に、私はお館様を呪うておりまする。そなたがお館様に抱かれている場を想像しただけで、身の内を嫉妬のほむらが燃えさかり、身を焦がすようじゃ。あれほど尊敬申し上げたお方なれど、そなたを私から奪い、その身を欲しいままになされているかと思えば、いっそ―」
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