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華のしずく~あなた色に染められて~
第14章 【残菊~華のしずく~】二
「時治様、お館様は真、あなた様の仰せのとおりの御方でおわされました。私は確かにお館様のご寝所に召されましたれど、お館様は何もなさらなかったのです。今宵は何もせぬゆえ、ゆるりと寝めと仰せなり、ご自分は床でお眠りになられましてございます」
「何と、それは真か」
時治の眼にわずかに生気が戻った。
「お館様は流石に天下をお取りにならるるとお噂のある方にございます。あのように器の大きなお方を初めて眼に致しました」