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華のしずく~あなた色に染められて~
第14章 【残菊~華のしずく~】二
五喜は翌日、永の暇を賜り、城から下がった。一時、砂山時寿の屋敷に身を寄せ、その年の冬には時寿の弟時治と五喜の婚礼が簡素に行われた。その日、青龍の城の秀吉からはたくさんの祝いの品が下賜された。
表面的には秀吉の側女であった五喜を秀吉が時治の妻として与えたということになってはいる。誰もが五喜は秀吉の寵愛を受けたと思い込んでいる。だが、時治も五喜も、人の思惑には頓着しなかった。真実は二人の胸の中だけにある。それで良いではないかと思ったのだ。
表面的には秀吉の側女であった五喜を秀吉が時治の妻として与えたということになってはいる。誰もが五喜は秀吉の寵愛を受けたと思い込んでいる。だが、時治も五喜も、人の思惑には頓着しなかった。真実は二人の胸の中だけにある。それで良いではないかと思ったのだ。