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華のしずく~あなた色に染められて~
第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人
―静かにして、今はミサの最中なの。
 あのときの千都の顔がふと浮かぶ。秀吉が立てた扉の音が煩いと言ったのだ。物怖じをせぬ凛とした態度が余計に気に入った。二十三になった秀吉はいまだに独身だが、彼の周りにいる女は皆、彼の気を引くことしか頭にない。そのいかにも媚びた態度が秀吉は煩わしいのだ。それに引き替え、千都の臆せずに物を言う様には清々しさすら覚えた。
 多分、あの娘は秀吉が領主と知ったとしても、その態度は変わるまいと思えたほどである。
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