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華のしずく~あなた色に染められて~
第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人
 扉を開ける前、秀吉はしばし立ち止まり、純白の椿の花を眺めた。折しもその時、雪は止み、幾重にも分厚く垂れ込めた鈍色の雲間から時折、薄日が差していた。真冬の清澄な、荘厳さすら漂わせる空気の中で凛として咲く椿は穢れを一切知らない。その姿はどこかあの娘―千都を思わせる。
 秀吉は心躍らせながら、木の扉を開けたのだった。
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