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華のしずく~あなた色に染められて~
第2章 二
が、突然、襲いかかられた信成は―したたか酔っぱらっているはずなのに―平然とその刃の柄の部分を両手で持って受け止めた。次に時房の腕をはっしと両手で押さえ込み、白刃が己れに振り下ろされる前に、逆に時房の腕をねじり上げ刀を奪い取り、彼の喉もとに刃を突きつけたのだ。
―叔父上、何ゆえ、かようなことをなされた?
耳元で低い声で訊ねると、時房はニヤリと笑った。それは、いつもの慈愛に満ちた時房の笑みではなく、信成が初めて眼にする冷笑であった。