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華のしずく~あなた色に染められて~
第18章 【花紋~華のしずく~】 一
確かに麗子は美しい少女ではなかったが、格別醜いというわけでもなく、貴族の姫君にしては珍しく小麦色の肌をしていることを除けば、ごく普通の容貌の範疇に入った。
では、何故、そのような間違った噂がひろがったのかと言えば、ひとえに父の藤原実琳(さねあきら)の迎えた後妻、つまり麗子には継母に当たる広子(ひろこ)のせいであった。広子は四十歳の実琳より十五歳も年下、つまり、継娘の麗子とは六歳しか歳が違わず、母娘というよりは姉と妹のようであった。
では、何故、そのような間違った噂がひろがったのかと言えば、ひとえに父の藤原実琳(さねあきら)の迎えた後妻、つまり麗子には継母に当たる広子(ひろこ)のせいであった。広子は四十歳の実琳より十五歳も年下、つまり、継娘の麗子とは六歳しか歳が違わず、母娘というよりは姉と妹のようであった。