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華のしずく~あなた色に染められて~
第18章 【花紋~華のしずく~】 一
朱雀の国に嫁してきても、ここにも麗子の安住の場所はなかった。信斉は婚礼の席にすら姿を現さず、これには麗子も相当の衝撃を受けた。いくら手酷い扱いに慣れているとはいえ、十九歳の若い娘の心にこのことは大きな翳りを落とした。〝婚礼をすっぽかされた花嫁〟の烙印を押され、朱雀の国の家臣たちの麗子を見る眼には同情と蔑みの入り混じった複雑な色が浮かんでいた。
やはり、変わり者と評判の姫ゆえかと皆、自分を嘲笑っているように思え、麗子は夜毎、枕に顔を押し当て声を忍ばせて泣いた。
やはり、変わり者と評判の姫ゆえかと皆、自分を嘲笑っているように思え、麗子は夜毎、枕に顔を押し当て声を忍ばせて泣いた。