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華のしずく~あなた色に染められて~
第19章 【花紋~華のしずく~】 二
「いや―」
 麗子の叫び声が空しく凍てついた空気の中に溶けた。
 雪はいつしか止んで、中天に蒼白い月が哀しげに歪んで見えた。月が冷たい光で麗子の清らかな身体を照らし出す。しんとした静けさが人里離れた小さな温泉を取り巻いている。
 麗子の長い黒髪が湯の中にゆらゆらと漂っていた。

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