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華のしずく~あなた色に染められて~
第19章 【花紋~華のしずく~】 二
 蒼空の向こうに消えてゆく鳥を眼で追いながら、信斉がポツリと言った。
「十日ほど前、この樹の下でそなたを見た時、俺はそなたに惚れた。小鳥たちに笑いかけるそなたの横顔に思わず見とれていた。そなたがこんな表情(かお)をするのだと初めて知ったのだ。無理に抱いたのは悪かったと思っている。だが、あの時、申したことは真の心だ。そなたはどこにもゆく場所はないと言ったが、それは違う。そなたには、これからは俺の傍にいて欲しいと思うている」
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