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華のしずく~あなた色に染められて~
第20章 【朱夏~華のしずく~】
父為時は早くに病で亡くなり、藍丸は長兄を父とも慕って大きくなった。時寿も歳の離れた末の弟を殊の外可愛がったが、それがかえって中の二人の兄たちを刺激していることに、藍丸はまだ気づいてはいない。時範と時高は事ある毎に、藍丸を子ども扱いするばかりか、時寿の眼の届かない場所で陰湿な悪戯ばかり仕掛けてくるのだ。
今日のように女の子の恰好をさせて、「女だ、女だ」とからかったり、藍丸の通りそうな場所に落とし穴を掘ったり―。
今日のように女の子の恰好をさせて、「女だ、女だ」とからかったり、藍丸の通りそうな場所に落とし穴を掘ったり―。