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華のしずく~あなた色に染められて~
第22章 其の壱~飛花~
秀継は養父秀吉のような生来、人を魅きつける華を持ち合わせてはいないけれど、秀吉が幼時に見込んだだけあって、分別もあり気性の優しい男であった。その点、松平家の養子となった弟秀康とは正反対、秀継が優しくすべてのものを包み込む月ならば、秀康は何もかもを灼き尽くす日輪であった。
帰蝶と秀継は今年、結婚三年目を迎えた。夫婦の間にまだ子はおらぬが、結婚以来いつも寄り添い合う微笑ましい姿が城内でもよく見かけられる。