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華のしずく~あなた色に染められて~
第22章 其の壱~飛花~
松平秀康―、帰蝶には義弟に当たる人物ではあるが、まだ一度として逢ったことはない。が、ここで突然にこの名が登場したことに、帰蝶は妙な胸騒ぎを覚えた。
「しかし、何ゆえ、秀康様が?」
その問いに、一之進は畏まって応えた。
「秀康様もこの度の右府様ご上洛に合わせて、お祝いの言上を述べに京へおいでになられました。秀康様、おん父上のご無念をお聞きになるや、即刻手勢を率いて秀継様のご宿泊所を取り囲み、残る兵を本仁寺に差し向けられ、おん自ら逆賊安良井道綱を討ち取られましてごさります」
「しかし、何ゆえ、秀康様が?」
その問いに、一之進は畏まって応えた。
「秀康様もこの度の右府様ご上洛に合わせて、お祝いの言上を述べに京へおいでになられました。秀康様、おん父上のご無念をお聞きになるや、即刻手勢を率いて秀継様のご宿泊所を取り囲み、残る兵を本仁寺に差し向けられ、おん自ら逆賊安良井道綱を討ち取られましてごさります」