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華のしずく~あなた色に染められて~
第23章 【夕桜~華のしずく~】其の弐~夕桜~
黄昏時に見ると、まるで白無垢を身にまとった花嫁御寮のように可憐で美しいその姿がほのかに淡い宵闇に浮かび上がる。そのことから、〝白無垢桜(しろむくざくら)〟または〝夕桜(ゆうざくら)〟とも呼ばれている不思議な桜であった。
青龍の国に嫁してきて以来、帰蝶はこの桜を気に入った。春がめぐりくる度、秀継と並んで黄昏刻にはこの桜を眺めたものだ。
この桜を見るのもこれが恐らく最後となろう―、帰蝶は次第に濃くなってゆく闇に沈んでゆく白い花を眺めて思った。
青龍の国に嫁してきて以来、帰蝶はこの桜を気に入った。春がめぐりくる度、秀継と並んで黄昏刻にはこの桜を眺めたものだ。
この桜を見るのもこれが恐らく最後となろう―、帰蝶は次第に濃くなってゆく闇に沈んでゆく白い花を眺めて思った。