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華のしずく~あなた色に染められて~
第24章 【夕桜~華のしずく~】 其の参~山梔子(くちなし)の夜~

〝青龍院殿大徳泰盛大居士(せいりゅういんでんだいとくたいせいだいこじ)〟、〝白龍院殿有徳継盛大居士(はくりゅういんでんゆうとくけいせいだいこじ)〟、秀吉と秀継の二人の位牌の並ぶ小さな仏壇に両手を静かに合わせながら、帰蝶は涙に曇る眼をしきりにしばたたいた。
湯浴みを済ませ、茜によって丹念に梳かれた豊かな黒髪は腰まで解き流している。
純白の寝衣一枚に同色のしごきを前に結んで長く垂らした寝間姿の帰蝶は水辺に舞い降りた白鷺のように儚げであった。その横顔には濃い憂いが宿り、それが帰蝶の美しさをより際立たせている。
湯浴みを済ませ、茜によって丹念に梳かれた豊かな黒髪は腰まで解き流している。
純白の寝衣一枚に同色のしごきを前に結んで長く垂らした寝間姿の帰蝶は水辺に舞い降りた白鷺のように儚げであった。その横顔には濃い憂いが宿り、それが帰蝶の美しさをより際立たせている。

