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華のしずく~あなた色に染められて~
第24章 【夕桜~華のしずく~】 其の参~山梔子(くちなし)の夜~
その問いに、帰蝶は淡く微笑した。つい先刻まで哀しみに泣き濡れていた、いかにも儚げな女人とは別人のようですらある。
「噂にござりまする」
帰蝶は婉然と微笑み、秀康を見返す。
「して、その噂の出所(でどころ)とはいずこじゃ、申せ」
秀康の整った横顔に刹那、狼狽が走ったのを、帰蝶は見逃さなかった。が、そのことには全く気づかぬ風を装い、平然と続ける。
「噂とは出所が判らぬ不確かなものゆえ、噂と申すのでございましょう?」
「噂にござりまする」
帰蝶は婉然と微笑み、秀康を見返す。
「して、その噂の出所(でどころ)とはいずこじゃ、申せ」
秀康の整った横顔に刹那、狼狽が走ったのを、帰蝶は見逃さなかった。が、そのことには全く気づかぬ風を装い、平然と続ける。
「噂とは出所が判らぬ不確かなものゆえ、噂と申すのでございましょう?」