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華のしずく~あなた色に染められて~
第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】
「そう申せば、義父上が案じておられました」
秀継が口ごもり、寧子が淋しげに微笑んだ。
「お義父上にはご心配ばかりおかけしますが、こればかりは致し方なきことにて、御仏の思し召しゆえ」
寧子は良人典房より二つ上の二十五歳。次女掬姫を生んでもう五年にもなるが、いまだに懐妊の兆しなく、二条家には世継ぎがいない。典房の父、つまり舅通房なども秀吉の手前言い出せないでいるが、実は典房に側室を持たせ、早くに後継たる男児を得て欲しいと願っているのだ。
秀継が口ごもり、寧子が淋しげに微笑んだ。
「お義父上にはご心配ばかりおかけしますが、こればかりは致し方なきことにて、御仏の思し召しゆえ」
寧子は良人典房より二つ上の二十五歳。次女掬姫を生んでもう五年にもなるが、いまだに懐妊の兆しなく、二条家には世継ぎがいない。典房の父、つまり舅通房なども秀吉の手前言い出せないでいるが、実は典房に側室を持たせ、早くに後継たる男児を得て欲しいと願っているのだ。