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海に漂う星屑のように
第5章 EXSTRA①〜Be my Valentine♪
「係長?」
「すまん、ちょっと受付行ってくる」
「なんか面会っすか?」
「あ・・・ああ、まあ、そんなもんだ」

横浜北署の刑事課は3階にある。エレベーターホールで下行きボタンを連打し、俺はじっと階数表示を睨む。

早く来い、来い・・・っ!

ちーん

開いたエレベーターに飛び乗り、今度は1階のボタンを激しく連打。
連打しすぎて、一回キャンセルになる

ああああ!

もう一度、落ち着いて押す。

ちーん

扉が開くと走らない程度の早足で署入口にある受付に向かった。
署に入ってすぐのスペースには来庁者用のソファや長椅子が置かれており、そのひとつに紺色のダッフルコートを着込んだやたら色素の薄い男が座っている。

そいつの前で受付担当の佐伯巡査が何やら困った様子で腕組みをしていた。

「陽菜多!」
思わず声に出してから、しまった!と思う。
俺の声に反応して、陽菜多がパッと顔を上げる。

「師月・・・良かったぁ・・・」
パタパタと駆け寄ってきて、ぎゅっと俺に抱きついてきた。途端、陽菜多がまとっていたひんやりとした外の冷気が俺の身体にも染み込んできた。

今日は昼間はあったかかったが、さすがに日が暮れればそうも言ってられない。たぶん、こいつは・・・

「おま・・・な、なんで!?」
「なかなか師月が出てこないから、もう帰っちゃったのかと思ったよ」

抱きついてぴょんぴょん跳ねてる陽菜多は俺に子犬を連想させた。そして、多分、この子犬はむちゃくちゃ長い時間、署の外で俺が出てくるのを待っていたのだろう。

「あ・・・あの・・・宗像係長?」
佐伯巡査がおずおずと声をかけてくる。
その声ではっとして、俺は陽菜多の身体をぐいと引き離した。

「あ・・・いや、その・・・こ、こいつは・・・」
その後が続かない。

知り合い?
友だち?
・・・それとも・・・

「師月が困ったら来いって言った!」
陽菜多が言う。手元で俺の『名刺』をくるくると指先で器用に回転させている。

ひいいいっ!そ、それは!!

「捜査協力者か何かですか?」
慌てる俺と、なんだか馴れ馴れしい陽菜多。そんな状況をなんとか合理的に解釈しようとした佐伯がひねり出した答えがこれだった。
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