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蜜会…春の嵐
第1章 春の嵐
 6

「あっ」
 トイレから出ると、颯太が立っていた。

「え?」
 さっき、皆と奥のテーブルの方に行った筈だったのに…

「いや、美春が…トイレかなぁって…見かけたからさ…」
 目を泳がせながら言ってきた。

「あ、うん…」
 その彼の言葉に、急に高鳴ってしまう。

 トイレ前とはいえ、ようやく二人きりになれたから…
 そして、それは…
 あの頃を想起させるから。

「お、俺さぁ…」
 すると、ジッとわたしの目を見つめ…

「え、あ、うん……」
 彼はわたしより15㎝程背が高い、わたしは少し見上げ、見つめ返す。

「お、俺さぁ、ずうっとさぁ、美春にさぁ…」

「……………」
 久しぶりに履いたヒールの爪先が震えてくる。

「美春にさぁ、ずうっと会いた…く………」
 その時…
 廊下の奥の角から、トイレへと歩いてくる数人の気配と会話が聞こえてきた。

「あっ」

 その瞬間…
 彼は、グイっとわたしの手を引き…

 バタンッ……
 
 多目的トイレに引き込まれ…

「えっ」

 ガチャ…
 そしてカギを閉じ…

「ん……」
 強引に壁に押され… 

 一瞬、目が合い…

 颯太は、躊躇いも見せずにキスをしてきたのだ。

 それはアッという間…

 そして予想外の流れでもあった…

 だけど…
 わたしは抗いもせずに…
 嬉々として、ううん、自ら唇を受け入れた。

「っ…………」
 きつく抱きしめられ…
 唇を合わせ、舌先が入ってくる。

「んん……」
 そして颯太の熱い想いがその唇から入り込み…
 膝が震え、力が抜けていく。

 高校以来の颯太の唇の味…

 そして…
 壊れた夫婦生活に陥ってからの…
 5年ぶりのキス………

 心と身体が震え…

 あの22年前へと、二人の想いが融けていく……。




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