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闇夜を彩るアラベスク
第7章 てんびん座の男
「どのような女の子をご希望かしら?」
ママさん自ら水割りを作ってくれながら、さりげなく上條の女の子の好みを探ってくる。
「そうだなあ…あまり場馴れしていないピュアな女の子がいれば嬉しいんだけれど」
客の扱いに慣れたベテランホステスよりも、この世界に飛び込んで他の男の手垢に汚れていない女の子がいいなとリクエストした。
「まあ!じゃあ、お客さんにピッタリの子がいますわ。
仕込んでもらいたいのでお付けしてもよろしいかしら?」
「ほう…訳あってお水の世界に飛び込んできた子がいるのかい?
それじゃあ、責任をもってしつけてやろうかな」
ピュアな女の子なら少々ブスでも構わないと思った。
何よりも自分の色に染め上げるプロセスがワクワクさせた。
ママさんに呼ばれて上條の席の隣に座ったのは、年のころは三十路の女で、どうせ亭主がこしらえた借金の返済に困って右も左もわからずにキャバ嬢に身を落としたと言っても過言ではない年増女だった。
「美里(みさと)です。よろしくお願いします」
寄せて上げての急ごしらえの谷間ではなく、もとより巨乳なのだろう。
トレスから覗くデコルテを強調させながら、彼女は胸元から名刺を抜き出して、人肌に温もった名刺を上条に差し出した。
「ほぉ…美里さんねえ…うん、良い名前だ」
上條は彼女が気に入って、受け取った名刺の匂いをクンクンと嗅いだ。

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