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『間違い』電話
第6章 『接近』
「賢…マイクロ…」


「帰れよっ!二度と、来ないでくれっ!」


俺は財布を取り出して、二万円を尚子の手に握らせた。


「弁当代と、今日やった分!」


わざわざ金なんか渡さなくても良かったんだろうけど、情だけで繋がったと思いたくなかった。


「要らない…こんなの…欲しい訳じゃ…」


また、涙を浮かべる。


だからだよ…だから渡すんだろ…。


「少ないけど…じゃあな…」


ガチャリと玄関を開けてやった。


「賢さんっ!」


尚子が握った二万をクチャクチャにしながら、目元を覆う。


「さようなら…」


肩を掴んで、押し出した。


「ひっく…ひいぃ…」


「大声で泣いても…もう関わらない…」


「ふっ……」


途端、泣き止んだ。


何だよ…嘘泣きだったのか?


「じゃ……」


「……よ………か…ら…」


ブツブツと、何か呟いた……。


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