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『間違い』電話
第10章 『標的』
『ヒロミ』…最初、尚子が間違い電話してきた時に言っていた名前…。


「ヒロミ…って…もしかして…」


尚子は目を細め小さく笑い、腕を俺の首に絡めて…


「あの女…自分が綺麗なの鼻に掛けて…人の旦那寝取ったんだよ…酷いでしょ…」


ドックン…


そうだ…やはり尚子の旦那の不倫相手なんだ…。


「本当に…あの花屋が…ヒロミなのか?」


尚子の腕に…ググッと、力が入る。


「あの女よ……旦那を…ずっと見張ったんだもの…」


ゾクリ…


今までに聞いた事ない…
地を這う様な低い声で、尚子は言った。


「付けた…のか…」


「ふふ…当たり前よね…自分だけ、いい思いしてるなんて…狡いわよね…」


「…あぁ…」


確かに『不倫』がいい訳ない…。


尚子は確証を得る為に、旦那を朝から晩まで見張ったのだろう…。


そして…それだけでは済ませ無いと…
動きだしたのか…。


じゃあ…俺は…


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