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『間違い』電話
第11章 『誘導』
立ち上がり、黒いコートを羽織ながら宏実は


「すみません…関係ない、野上さんまで巻き込んでしまいまして…」


全くな…


「まぁ…最初はいい迷惑でしたが…宏実さんとこうやって知り合いになれましたから…」


「え…野上さん…」


ニッコリ笑ってやりながら


「正直…宏実さんがこんな素敵な方とは…岩村さんの気持ち…分からなくもないかな…」


意味深な言葉を並び立てる…


勿論…策略だけど、我ながら歯が浮きそうだ。


「野上さん…」


宏実は口元を押さえ、少し戸惑う…。


困っているのか…照れてるのか…。


「また…会いましょう…」


こくりと、宏実は小さく頷いて


「分かりました…時間がある日を連絡しますので…」


「ええ…待ってます…」


俺は宏実の目を見詰めて、ニッコリと微笑んだ。


「あっ…ここで失礼します…」


慌てて目を反らして、逃げる様に宏実は店を出て行った。

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