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『間違い』電話
第12章 『遭遇』
「野上さん…?どうかされましたが?」


考える込んでしまった俺を訝しげに、兼子は目を細めて見ている。


「すみません…いつ予定が空いてるか思い出していたもので…」


「ご都合の良い日が分かりましたら、名刺に記載の連絡先にご連絡頂ければ大丈夫ですので」


紳士的に笑う顔は、立派な営業マンだった。


「有難う…ございます…では、奥様もお気を付けて…」


「野上さん…有難うございました…」


先に背中をむけた旦那の背中を追いながら、縋る様な視線を宏実は俺に差し向けた。



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