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第12章 『遭遇』

ドクン…ドクン…


「え…一枚だけって…言ってたよな…」


「そうね…それでも探すかと思ったんだけど…一枚も見なかったのね…」


尚子は袋からカードを一握りして、目の高さから手を開いてバラバラと落とす。


「見ようとは思ってたさ…でも、現実は変わらないだろう…」


髪を頬に垂らし、首を傾けて俺をジッと見る…


「変えたいとは…思わなかったの？」


はぁ？
何が…言いたいんだ？


「たった一枚見れば…何か変わったかもしれないのに…ね…」