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『間違い』電話
第17章 『終幕』
カッツン…
足で弾かれた石が、渦巻く潮に吸い込まれていく。
断崖絶壁の名所に、一人佇む女性の影。
市松人形の様な黒で真っ直ぐな髪が、吹き上がる潮風に巻き上げられ、顔に纏わり付いている。
その女性はバッグからビニール袋を取り出した。
使用済みコンドームが入っているその袋をしばらくジッと見詰めていたが
「バイバイ…賢…」
指を離すと袋は風に踊らされながら、荒波の中に掻き消えていった。
女性は携帯の操作を始める。
プルルルルルル…
コール音が鳴り響き…
『はい?』
受信の相手は男性だった。
「もしもし…野上さんですか?」
『いえ…違いますよ…』
女性の口元に笑みが浮かぶ…
「ごめんなさい…間違い…電話…です…」
日本海の断崖に…
赤い三日月が小さく浮かんだ…。
『間違い』電話 完
足で弾かれた石が、渦巻く潮に吸い込まれていく。
断崖絶壁の名所に、一人佇む女性の影。
市松人形の様な黒で真っ直ぐな髪が、吹き上がる潮風に巻き上げられ、顔に纏わり付いている。
その女性はバッグからビニール袋を取り出した。
使用済みコンドームが入っているその袋をしばらくジッと見詰めていたが
「バイバイ…賢…」
指を離すと袋は風に踊らされながら、荒波の中に掻き消えていった。
女性は携帯の操作を始める。
プルルルルルル…
コール音が鳴り響き…
『はい?』
受信の相手は男性だった。
「もしもし…野上さんですか?」
『いえ…違いますよ…』
女性の口元に笑みが浮かぶ…
「ごめんなさい…間違い…電話…です…」
日本海の断崖に…
赤い三日月が小さく浮かんだ…。
『間違い』電話 完