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シアター"名画座"で逢いましょう
第1章 シアター"名画座"
ここは、とあるマンションの一室。
キッチンからはコトコトとシチューの煮える匂いが漂っている。
グツグツと煮える鍋を覗き込む日菜子の顔は暗い。
『こんなもの作ったって、あの人は美味しいの一言もくれないのだから作っていても楽しくない…』
夫の広が不倫をしているのに気づいたのは半年前…
スーツに女の香水の残り香をつけて帰宅してきた。
「あなた…スーツの残り香は何よ?!
まさか、不倫をしているんじゃ…」
「ああ、今まで黙っていてゴメン…
お察しの通り、他に好きな女が出来て、週に何度かはデートしているんだ」
まるで今まで口にすることが出来なくてモヤモヤしていたのが、ようやくバレてスッキリしたのか、晴ればれとした表情で不倫のどこが悪いんだと言わんばかりに堂々と告白した。
「どこのどんな女なの?!
どっちから関係を求めたの?あなたからじゃないわよね?
あなた遊ばれているのよ!そんな女とは別れて私だけを愛してちょうだい!」
「お前のそういう独占欲丸出しの態度が気に入らないんだよ!
いいかい、人生は一度きりなんだ。俺は、いろんな女とセックスがしたいんだ!」
「あなた、頭がおかしいんじゃないの?
私たちは夫婦なのよ!私だけを愛するのが常識じゃないの!」
「不満かい?それなら離婚してやってもいいんだぜ
職場で馴染めずに可哀想だから結婚して人生をバラ色にしてやったのは誰だ?俺だろ?」
そう言われれば、ぐうの音もでない。
バージンを広に捧げて女の悦びを教えてくれたのは事実だし、彼に捨てられてしまっては、人付き合いの苦手な自分が再び社会人に戻って働いてゆける自信がなかった。

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