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シアター"名画座"で逢いましょう
第1章 シアター"名画座"
結局、強引に佳純に誘われて、気がつけば劇場へと足を運んでいた。
寂れた繁華街の一角にその"名画座"なる建物が朽ち果てそうな外観をさらして妖しい雰囲気を醸し出していた。
寂れた繁華街には人通りもなく、チケット売場の窓口には妙齢の熟女がスマホゲームに興じながら座っていた。
「すいません、大人二枚ください」
成人映画の映画館なのだから、大人しか来ないに決まっているのに、窓口にはご丁寧に大人1,000円、中人500円、小人200円という代金表が掲げられている。
「はいよ、大人二枚ね」
代金と引き換えに、まるで切符のような入場券を手渡された。
「入ってすぐに入場券を入れる小箱があるから、そこに入れてくださいね」
そのように説明されてドアを入ると、確かに小箱が設置されていて中に入場券がすでに入っていて、客が日菜子たちだけでないのがわかった。
「やだ、ドキドキしてきちゃった…
やっぱり私、帰るわ」
引き返すのなら今が最後のチャンスだと思った。
1,000円をドブに捨てるようなものだけど、何だか来るところじゃないと心が警鐘を鳴らしていた。
「バカね、社会勉強だと思えばいいのよ」
強引に佳純に手を引かれて、逃げるチャンスを奪われてしまう。
「もう!佳純ったら強引なんだからぁ」
もう後には引き返せないのねと覚悟を決めて、日菜子は劇場のロビーを歩き始めた。

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