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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第104章 ほだされた情愛
経済的に恵まれない環境の中、母親の期待を一身に背負い、期待に応えようと必死に走ってきたのだろう。澪が彼のことを「この子」と心の中で呼んだのは、単に年齢が若いからというだけではなかった。彼の健気な苦労話を聞くうちに、目の前の青年が、どこか放っておけない自分の弟や、親戚の可愛い年下の子のように思えてきたからだった。もし自分の身内だったら、たくさん褒めて、背負っている荷物を下ろしてやりたい。そんな身内を慈しむような、温かく切ない感情が澪の胸を支配していく。そう思うと、彼が時折見せる生意気な態度も、未熟な自分を大きく見せようとする健気な武装のように思えてならなかった。憎むというよりは、むしろその肩の荷を少し下ろして、労わってあげたい――そんな、年上の女性としての柔らかな情が、澪の心にそっと芽生え始めていた。
そんな澪の心境の変化を察してか、あるいはアルコールが彼の警戒心を解いたのか、律弥はグラスを見つめたまま、今度は視線を澪の方へとゆっくり向けた。その瞳には、先ほどの性急な欲望ではなく、どこか祈るような真摯な光が宿っていた。
「……澪さん。僕、今日、あんな強引なことをして……本当にすみませんでした。もちろん、澪さんとこういう場所に来られたのが嬉しくて、男としての邪な気持ちがなかったって言ったら嘘になります。でも……それだけじゃないんです」
律弥はそこで一度言葉を区切ると、愛おしそうに、そしてどこか神聖なものを拝むかのように澪の顔を真っ直ぐに見つめた。
「僕、あの夜に、初めて澪さんを見たんです。あの部屋で、全裸であられもない姿にされている澪さんを……。最悪な出会いだったと思います。でも、あの極限の状態にありながら、澪さんが放っていた雰囲気は、僕の心を一瞬で奪うには十分すぎるものでした」
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