この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第33章 静かなる虜化
週末を跨ぎ、翌週の木曜日。新しい日常が始まってから十日あまり、奇妙に平穏な日々が続いていました。
澪の心からは、当初の鋭い警戒心は影を潜めつつありました。オフィスでの鬼頭は常に「鴫原くん」と呼びかけ、仕事のパートナーとして申し分ない敬意を払ってくれます。一度として指先一つ触れられることもなく、あまりに徹底したその紳士ぶりに、澪はいつしか「あの夜の出来事は、彼なりの極端な、そして一度限りの試練だったのではないか」とさえ思い始めていました。
一方、一人で帰宅し、妻の帰りを待つ雄一の精神は、限界に達していました。 静まり返ったリビングで紬と過ごす時間は、彼にとって「妻を奪われている」という疑念を増幅させる檻でしかありません。木曜の夜、帰宅した澪を迎え、紬が寝静まった後、雄一はついに堪えきれず、震える声で問い詰めました。
「……澪。本当のことを言ってくれ。あいつのところで、本当に……何もされていないのか?」
縋るような、それでいて怯えた雄一の眼差し。澪は逃げることなく、夫の目を真っ直ぐに見つめ返しました。
「雄一さん、信じて。本当に、お仕事以外は何もないの」
澪は、自分がどのようなデスクに座り、どのような書類を精査し、鬼頭がいかに仕事に対して厳格かつ誠実であるかを、詳細に、順を追って説明しました。不動産の利回り計算や契約書のチェックといった具体的な業務内容を聞くうちに、雄一の肩から少しずつ力が抜けていきました。
「そうか……。すまない、変なことを聞いて。君を信じていないわけじゃないんだ」
雄一は、妻の澱みのない言葉にようやく救われたような心地になり、数日ぶりに深い安眠につくことができました。
澪の心からは、当初の鋭い警戒心は影を潜めつつありました。オフィスでの鬼頭は常に「鴫原くん」と呼びかけ、仕事のパートナーとして申し分ない敬意を払ってくれます。一度として指先一つ触れられることもなく、あまりに徹底したその紳士ぶりに、澪はいつしか「あの夜の出来事は、彼なりの極端な、そして一度限りの試練だったのではないか」とさえ思い始めていました。
一方、一人で帰宅し、妻の帰りを待つ雄一の精神は、限界に達していました。 静まり返ったリビングで紬と過ごす時間は、彼にとって「妻を奪われている」という疑念を増幅させる檻でしかありません。木曜の夜、帰宅した澪を迎え、紬が寝静まった後、雄一はついに堪えきれず、震える声で問い詰めました。
「……澪。本当のことを言ってくれ。あいつのところで、本当に……何もされていないのか?」
縋るような、それでいて怯えた雄一の眼差し。澪は逃げることなく、夫の目を真っ直ぐに見つめ返しました。
「雄一さん、信じて。本当に、お仕事以外は何もないの」
澪は、自分がどのようなデスクに座り、どのような書類を精査し、鬼頭がいかに仕事に対して厳格かつ誠実であるかを、詳細に、順を追って説明しました。不動産の利回り計算や契約書のチェックといった具体的な業務内容を聞くうちに、雄一の肩から少しずつ力が抜けていきました。
「そうか……。すまない、変なことを聞いて。君を信じていないわけじゃないんだ」
雄一は、妻の澱みのない言葉にようやく救われたような心地になり、数日ぶりに深い安眠につくことができました。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


