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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第98章 妻の選択は夫婦の絆を揺るがす男
二人のやり取りを冷徹な目で見届けていた鬼頭は、澪が宇佐美を選んだことで、ようやく最悪の破滅を回避できる筋道が見えたことに安堵の息を漏らした。彼はその場ですぐにポケットから携帯電話を取り出すと、素早い手つきで神楽坂の個人番号へと発信した。
呼び出し音が数回鳴った後、静寂に包まれた応接室に、神楽坂の重々しく威厳のある声が携帯越しに漏れ聞こえてきた。
「ああ、神楽坂さん、鬼頭です。先ほどの件、結論が出ました。……鴫原澪の件ですが、宇佐美さんに丸1日、彼女をお貸しすることに決定いたしました。真壁さんと宇佐美さん、この二人がこれで納得して現場に戻る担保は立ちました。これで……これでプロジェクトを継続させていただけますね?」
鬼頭は会社の命運を握る大物に対し、へりくだった態度で必死に交渉の言葉を繋いだ。
携帯の向こうの神楽坂は、鬼頭の報告を静かに聞いていたが、やがて満足げな、低い含み笑いを漏らした。
『そうか、宇佐美を選んだか。ふふ、面白い選択だな……。分かった、宇佐美がそれでへそを曲げずに仕事に戻るというのなら、プロジェクトの凍結は一時保留にしてやろう。メンバーのモチベーションさえ戻れば、このまま進行させて構わん。澪くんに、しっかりと宇佐美をよろこばせて、その気にさせるように言うんだぞ、鬼頭さん』
「はっ、間違いなくそのように伝えます。ありがとうございます……!」
神楽坂はこれで完全に納得したようだった。一方的に切られた携帯電話を耳から離し、鬼頭はふう、と深くソファーにもたれかかった。
3人で出した結論が、こうして瞬時にフィクサーへと伝えられ、確定してしまった。会社が倒産するという破滅の危機はひとまず遠のいたものの、それは澪が宇佐美に丸1日心身を捧げるという、新たな生贄の儀式と引き換えに得たものだった。今夜の鬼頭、明後日の時雨崎、週末の真壁、職に新たに決定した宇佐美との1日――。澪を全方位から絡め取る男たちの欲望の鎖は、さらに強固に、そして冷酷に彼女を縛り付けていくのだった。
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