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影を背負った愛~足りない愛を、君に 《2024年夏至編》
第46章 逃げ切れない平日の甘い攻防~木曜~
<彩香SIDE>

同日 11時50分 神奈川支店 13階廊下

彩香は少し落ち着こうと、廊下に出て深呼吸をしていた。
壁に軽く背中を預け、目を閉じて息を整える。

(……もう、朝からこんな調子じゃ……午後の自席作業、どうしよう……)

その時——
廊下の奥から複数の足音が近づいてきた。

彩香が目を開けると、ちょうど健治さんと田中部長、大迫課長、そして矢賀部課長
の4人が会議から戻ってくる姿が目に入った。

彩香の顔が一瞬で青ざめた。

(……やばっ……!)

慌てて周りを見回し、近くの女子トイレに飛び込んだ。
ドアを閉める手が震えていた。


<健治SIDE>

同日 11時51分 神奈川支店 13階廊下

4人はそのまま彩香がいた辺りを通過した。
矢賀部は、健治さんの横を歩きながら軽く肘で突いた。

「おい大内さん、なんかさっきから機嫌いいじゃないすか。
朝からニヤニヤしてんじゃないすか
またスカッシュで勝ったとか?」

健治さんは渋い顔のまま、軽く笑ってかわした。

「いや、別に。ただ、今日もいい天気だなと思ってな」

矢賀部は「へえ〜」と意味深に笑いながら、
疑うような眼差しで健治さんをチラリと見たが、それ以上は追及しなかった。


<彩香SIDE>

同日 11時51分 神奈川支店 13階女子トイレ内

彩香は個室のドアに背中を預け、胸を押さえながら小さく息を荒げていた。

(……危なかった……4人もまとめて来るなんて……
特に矢賀部さん、察し良さそうだから……)

顔を両手で覆い、彩香は小さく呟いた。

「……もう、今日は本当に限界かも……」

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