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影を背負った愛~足りない愛を、君に 《2024年夏至編》
第46章 逃げ切れない平日の甘い攻防~木曜~
同日 17時28分 神奈川支店 13階 企画部フロア

定時まであと2分。
彩香はそっと自席に戻り、PCの電源を落とした。
机の上に散らばっていた資料やペンを慌ただしく片付け始める。

(……やっと……今日が終わる……もう、健治さんに会わずに帰りたい……)

そんな彩香の傍を、健治さんがわざとらしくゆっくりと通りかかった。

彩香の動きがぴたりと止まる。

健治さんは資料を片手に持ち、至って自然な課長の声で話しかけた。

「中山、今日は逃げずに頑張ったな。よく耐えた。
明日は発表会だから頑張るんだぞ」

彩香はびくりと肩を震わせ、顔を真っ赤にした。
少し動揺しながら、小さく頭を下げる。

「……は、はい……お疲れ様です、課長……」

健治さんは口ひげの下にわずかに笑みを浮かべ、満足げにその場を離れた。

彩香は机の上で小さく縮こまり、胸を押さえながらため息をついた。

(……逃げずに頑張った……って……絶対に意地悪……
明日も……どうしよう……)

定時のチャイムが鳴り、彩香はまだ熱の引かない頰を隠すように、
急いで荷物をまとめてフロアを後にした。
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