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影を背負った愛~足りない愛を、君に 《2024年夏至編》
第48章 1ヶ月記念~二人だけの湘南ドライブデート~ 前編
2024年6月下旬 土曜日 7時 横浜市保土ヶ谷区 

マンションを出た大内健治は、いつものランニングコースを外れて、
少し離れた公園へと足を向けた。

なんだか調子がいいからである。
朝の空気はまだ涼しく、木々の葉がかすかに揺れている。週2回のランニング。

今日もいつものように体を動かすことで、頭をすっきりさせようと思っていた。

公園の小道を軽く走っていると、前方からゆっくりと歩いてくる老人の姿が目に入った。

80代くらいだろうか。背筋はピンと伸び、歩幅は小さくも確かだ。
杖はついていない。白い髪に、よく整った口ひげ。
深く刻まれた皺の奥から、鋭くも穏やかな目が眼鏡越しにこちらを見ていた。
健治は思わず足を止めた。

どこかで見た顔だ
——いや、似ている、というより、彩香が何度も言っていたあの俳優にそっくりだった。

老人がゆっくりと近づいてきて、軽く会釈をした。

「おはようございます。朝からよく走られますね」

声は低く、落ち着いていた。健治もすぐに頭を下げた。

「おはようございます。たまに違う公園に来るんです。今日は気分を変えたくて」

老人は穏やかに微笑んだ。

「そうですか。私は近所なので、毎朝ここを歩いています。
体を動かすのは大事ですからね」
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