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素直になれない幼なじみ【短編】
第1章 午前0時
( ……あ )
お酒の匂いに混じって、ツンと鼻を突くような、濃厚な香りがした。
ローズとバニラが混ざったような、大人の女性がつけるタイプの香水。
皇なら絶対に身につけないであろう、甘ったるい匂い。
『皇ってさ、本当にマメだよね。いっつも違う女の子と遊んでるし』
いつだったか、共通の友人が呆れたように言っていた言葉が、脳裏をよぎる。
胸の奥が、冷たい氷を押し付けられたようにズキリと痛んだ。
今夜も彼は、別の誰かと一緒に居て、その帰り道に終電を逃し、私のところにやってきた。
「お前、相変わらず部屋片付いてんな。男っ気ゼロ」
そんな私の葛藤など露知らず、皇は上着を脱ぎ捨てながら、我が物顔でベッドの端に腰掛けた。
ニヤニヤとした、いつもの〈意地悪な幼なじみ〉の顔で、私を見上げる。
「…うるさい。お水持ってくるから。飲んだら早く寝て」
私は引きつりそうになる表情を必死に抑え、キッチンへと向かった。

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