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智恵の輪
第1章 同僚の距離
互いに見つめ合う――。
その距離感に和真の体が固まった。
智恵の顔が、彼の肩に触れそうなほど近かった。
彼の腰には彼女のバッグが触れていた。
智恵は慌てて和真から離れるわけでもなく、目を細めて彼を見つめ、頬を緩ませて微笑んでいた。
とっさに縋りついてきた智恵がかわいらしく見え、突然縮まった二人の距離に、和真の胸は苦しくなった。和真は視線を上げ、車内の雑誌広告へ逃がしてしまった。
それは満員電車では仕方のないことだと、和真は思いたかった。先程まで彼女の立っていたスペースは男性に取られ、その大きな体で間を詰められてしまった。そのせいで智恵は元の場所に戻れず、自分の方に体を寄せるしかなかったのだと。それでも、智恵が離れようとしていないことだけは、和真にも分かっていた。
和真は深く息を吸い、上を向いて吐き出した。その胸の動きに気づき、智恵は顔を上げて微笑んでいた。彼の視線の隅には、淡いベージュのカーディガンから透ける智恵の腕が見えていた。生地はゆとりを失い、ピンッと伸びたまま、彼の体から離れなかった。彼女の胸が彼の体に触れていた。平静を装っていたが、和真は胸の鼓動が早くなるのを抑えられなかった。
智恵もふっと息を吐き出した。その鼻から抜ける息が和真の首に当たっていた。その熱で和真の耳は赤くなり、額から汗が噴き出すような感覚を覚えた。
その距離感に和真の体が固まった。
智恵の顔が、彼の肩に触れそうなほど近かった。
彼の腰には彼女のバッグが触れていた。
智恵は慌てて和真から離れるわけでもなく、目を細めて彼を見つめ、頬を緩ませて微笑んでいた。
とっさに縋りついてきた智恵がかわいらしく見え、突然縮まった二人の距離に、和真の胸は苦しくなった。和真は視線を上げ、車内の雑誌広告へ逃がしてしまった。
それは満員電車では仕方のないことだと、和真は思いたかった。先程まで彼女の立っていたスペースは男性に取られ、その大きな体で間を詰められてしまった。そのせいで智恵は元の場所に戻れず、自分の方に体を寄せるしかなかったのだと。それでも、智恵が離れようとしていないことだけは、和真にも分かっていた。
和真は深く息を吸い、上を向いて吐き出した。その胸の動きに気づき、智恵は顔を上げて微笑んでいた。彼の視線の隅には、淡いベージュのカーディガンから透ける智恵の腕が見えていた。生地はゆとりを失い、ピンッと伸びたまま、彼の体から離れなかった。彼女の胸が彼の体に触れていた。平静を装っていたが、和真は胸の鼓動が早くなるのを抑えられなかった。
智恵もふっと息を吐き出した。その鼻から抜ける息が和真の首に当たっていた。その熱で和真の耳は赤くなり、額から汗が噴き出すような感覚を覚えた。

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