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月曜日の処方箋
第2章 はじめての診察
「大丈夫。少しずつ、背筋を伸ばそうね」
加藤の落ち着いた、どこか包み込むような声が聞こえた。
その優しさに促されるように、陽菜はゆっくりと息を吐き、強張っていた背中を少しだけ起こす。
――けれど、頭では分かっていても、心がすぐに追いつくわけではない。
恥ずかしさと気恥ずかしさで、陽菜は顔を真っ赤に染めたまま、どうしても加藤の顔を見ることができず、ぎゅっと視線を自分の膝へと落とし込んだ。
「……うぅ……」
そんな陽菜の葛藤を察するように、加藤は余計な言葉を重ねず、ただ静かに待ちながらそっと聴診器を手に取った。
カチャ、と金属がわずかに触れ合う音がして、次の瞬間。
「……冷たいよ、ごめんね」
その言葉とともに、ひんやりと冷たい聴診器の金属面が、陽菜の敏感になった胸の皮膚にスッと触れた。
「っ……」
思わず体がビクリと小さく跳ねたが、加藤の温かく大きな手が背中にそっと添えられ、「大丈夫だよ、ゆっくり息してね」と優しく支えてくれる。
冷たい金属の感触と、心音を聴き取るために胸に当てられる確かな重み。
恥ずかしさに涙が滲みそうになりながらも、陽菜は必死に言われた通り、大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出した。
聴診器が胸から離れ、ようやく終わったと思ったのも束の間。
加藤はカルテから目を上げ、少し言いにくそうに、けれど真剣なトーンで陽菜に告げた。
「……うん、心音や肺の音には特に異常はないね。ありがとう」
そこまで言ってから、加藤は一度言葉を区切り、そっと視線を合わせて続けた。

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