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父に刻印された身体
第8章 父に火を灯した最初の誘惑
(あ……)

思わず、胸の奥で小さな悲鳴のような吐息が漏れる。
鏡の中に映る父の姿を追っていた私の目が、ある一つの違和感に引き寄せられ、釘付けになったまま動かなくなった。

(……お父さん……勃起してる……?)

濡れたボクサーパンツの前面が、あからさまに、そして異様なほどの質量を持って大きく膨れ上がっていた。
薄い布地の向こうで、硬く太い塊が、耐えかねたように自己主張を繰り返しながら強く隆起している。
一度それを視界に収めてしまうと、もう私の瞳をそこから剥がすことなど不可能だった。直視すればその生々しい熱に焼き尽くされそうなのに、背徳の快感が磁石のように視線を吸い寄せて離さない。

――ああ、私がこの男(ひと)を壊したのだ。

その瞬間、胸の奥底から甘く不穏な歓喜の波が、ぞくぞくと身体の芯を駆け上がってきた。
髪から身体まで洗い終え、差し出された無防備な全裸の質感が、完璧で理性的だった父の枷を暴力的になぎ払ったのだという確信。親子の禁忌を軽々と踏みにじる圧倒的な優越感と、女としての全能感が、私の全身の血を熱く滾らせていく。胸の奥がキュッと甘く疼き、吐息が勝手に熱を帯びた。

狭い浴室に充満する濃密な湯気の中、父は何事もなかったかのように平静を装おうとしている。
しかし、シャワーの温水とともに泡を丁寧に流し落としていく大きな手先の微かな震えを、引き結ばれた唇の端から漏れる荒い呼吸を、私は見逃さなかった。
流されていく石鹸の残り香の向こうから、父の身体から立ち上る昂ぶった体温の匂いが漂い、私の鼻腔を、脳を、痺れさせていく。

ザーッという水音とともに、白い泡が私の首筋から胸元、腰、そして脚へと滑り落ち、流されていく。泡が消え、濡れた素肌が露わになるたび、温水を纏った父の手が私の身体の輪郭を確かめるように滑り、耐えかねたような視線がそこを舐めるように辿っているのを感じる。肌が、その直接的な触覚と気配だけで粟立つ。

その無言の手つきと、下半身があまりにも残酷に魅せつける変貌の対比。
私はただ息を殺し、歓喜に疼き跳ね上がる鼓動と熱を必死に押し殺しながら、水滴に濡れた鏡越しに、その狂おしい破滅の光景を凝視し続けていた。
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