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姉枕
第1章 東京……十八歳
「本、作っているんやろ」
「そうやで。といっても、うちのところは、海外の古典文学とか哲学の本ばかりねんけどな」
「海外の本ってことは、英語?」
「英語だけやないけどな。まあ、お姉ちゃんが編集するのは翻訳されているものだから、全部、日本語やで」
「ふぅーん、楽しいんやったら、ええやん……おおおっ、おおおおっ、姉さん、あれ!」
姉さんの顔を見ながら話していると、姉さん側の窓の向こうに、東京のシンボルが見えていた。
「あ~。そうや、東京タワー」
あろうことか、姉さんは忘れていたように言った。姉さんにとっては、東京タワーよりも国会議事堂のほうが、オススメのスポットだったみたいだ。
「早く言えよ。すげえ。ほんまに真っ赤ねんなぁ。格好ええわ」
僕は姉さんの体に覆い被さるように、窓に近づいて、東京タワーをじっくり見ようとした。
「ふふ。あとで、上までいこっか」
姉さんの、ふふ、という笑い声が、僕の耳を心地良くくすぐった。
「ほんま? めっちゃ行ってみたい」
目に飛び込むものすべてが、僕の脳にガンガン刺激を与えてくる。
十時間前、岡山駅のバスターミナルから深夜バスに乗ったときは、東京の街を見るだけでこんなに高揚するなんて思ってもいなかった。ただただ一年ぶりに姉さんと会えることだけを考えていた。
東京タワーを車窓から見たあと、垂直に伸びる高層ビルが建ち並ぶエリアに入っていた。
「この辺もすげえ。なんていうの?」
「汐留かな。いろんな大きな会社が入っているで。近くに新橋という駅があって、サラリーマンの町って言われているねん」
「へえー。あ、モノレールや!」
高層ビルの合間を縫うように、車輪のない電車が高架を走っていた。
「ゆりかもめ、っていうんやで。モノレールみたいやけど、ちょっと違うらしいで」
「どう違うねん」
「さあ……お姉ちゃんもそこはようわからんけどな」
モノレールみたいな電車を追いかける形でタクシーは進み、高速道路に入った。らせん状の坂道を縫うように走り、やがて海が見えてきた。
「これは東京湾?」
「そう。これからレインボーブリッジを渡るんやで」
「渡るのかぁ」
僕はもうワクワクが止まらなかった。傍にいるのが姉さんだから、子供の頃に戻ったみたいに、ついハシャぎすぎてしまう。
「そうやで。といっても、うちのところは、海外の古典文学とか哲学の本ばかりねんけどな」
「海外の本ってことは、英語?」
「英語だけやないけどな。まあ、お姉ちゃんが編集するのは翻訳されているものだから、全部、日本語やで」
「ふぅーん、楽しいんやったら、ええやん……おおおっ、おおおおっ、姉さん、あれ!」
姉さんの顔を見ながら話していると、姉さん側の窓の向こうに、東京のシンボルが見えていた。
「あ~。そうや、東京タワー」
あろうことか、姉さんは忘れていたように言った。姉さんにとっては、東京タワーよりも国会議事堂のほうが、オススメのスポットだったみたいだ。
「早く言えよ。すげえ。ほんまに真っ赤ねんなぁ。格好ええわ」
僕は姉さんの体に覆い被さるように、窓に近づいて、東京タワーをじっくり見ようとした。
「ふふ。あとで、上までいこっか」
姉さんの、ふふ、という笑い声が、僕の耳を心地良くくすぐった。
「ほんま? めっちゃ行ってみたい」
目に飛び込むものすべてが、僕の脳にガンガン刺激を与えてくる。
十時間前、岡山駅のバスターミナルから深夜バスに乗ったときは、東京の街を見るだけでこんなに高揚するなんて思ってもいなかった。ただただ一年ぶりに姉さんと会えることだけを考えていた。
東京タワーを車窓から見たあと、垂直に伸びる高層ビルが建ち並ぶエリアに入っていた。
「この辺もすげえ。なんていうの?」
「汐留かな。いろんな大きな会社が入っているで。近くに新橋という駅があって、サラリーマンの町って言われているねん」
「へえー。あ、モノレールや!」
高層ビルの合間を縫うように、車輪のない電車が高架を走っていた。
「ゆりかもめ、っていうんやで。モノレールみたいやけど、ちょっと違うらしいで」
「どう違うねん」
「さあ……お姉ちゃんもそこはようわからんけどな」
モノレールみたいな電車を追いかける形でタクシーは進み、高速道路に入った。らせん状の坂道を縫うように走り、やがて海が見えてきた。
「これは東京湾?」
「そう。これからレインボーブリッジを渡るんやで」
「渡るのかぁ」
僕はもうワクワクが止まらなかった。傍にいるのが姉さんだから、子供の頃に戻ったみたいに、ついハシャぎすぎてしまう。

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